この記事は、渡部昇一著『読む年表 日本の歴史』の読書ノートです。
今回は
第2章 中世篇
北条氏の執権政治が始まる
(1219年/承久元年)
です。
要点
- 北条氏が鎌倉幕府の実質的な権力を握る
- 宮廷だけでなく、将軍もフィギュアヘッド化した時代
- 北条氏が1世紀半以上もキングメーカーであり続けた
解説
鎌倉幕府は源頼朝が成立させた幕府ですが、源氏による支配はわずか3代で潰えてしまいます。
その後の鎌倉幕府を実質的に支配したのは源頼朝の妻政子の実家である北条家一族でした。そのため鎌倉幕府は実質、北条幕府といえるものでした。
渡部氏によると、日本は二千年近く前からずっとキングメーカーによる政治を行っていたといいます。キングメーカーとは一言で言うと影の実力者です。
またフィギュアヘッドとは、船首に付ける飾りのことです。船首にあるので一見重要そうに思えますが、あくまでシンボルであり、実権はなにもない。そういう存在をフィギュアヘッドといいます。
日本の場合、皇室がフィギュアヘッドであり、武家政権がキングメーカーにあたります。
そして北条氏が執権となり政治を司っていた時代は、武家のトップである将軍自体もフィギュアヘッド化していた特異な時代でした。
例えば4代目以降の将軍は公家から5歳や7歳の子供を将軍職につけています。
北条氏自身の身分はというと、地方派遣軍司令官(将軍)の下という地位です。そんな格下の地位にある北条家が1世紀半も実権を握っていました。それほど長く続いたというのは裏を返せば有能であったということです。
日本最大の国難の一つ、元寇から見事日本を守りきったのは他でもない北条氏が実権を握っていた時代だったのです。