日本史 読書ノート

『源氏物語』成立/「世界史上最高の文明」が生んだ傑作

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この記事は、渡部昇一著『読む年表 日本の歴史』の読書ノートです。

今回は
第1章 古代篇
『源氏物語』成立
(1001年)
です。

要点

  • 1001年頃に書かれた世界最古の小説
  • 自由で洗練された男女のつきあいが描かれている
  • 平安時代は『源氏物語』を頂点とし、その他多くの女性文化が花開いた時代

解説

『源氏物語』は、紫式部(むらさきしきぶ)が1001年頃に書いた、世界最古の小説です。また、女流小説家としても世界最古です。

渡部氏は例として西欧の作家と作品が発表された年代を紹介しています。

・ボッカチオ著『デカメロン』(イタリア)・・・1348年
・ラブレー著『ガルガンチュアとパンタグリュエル』(フランス)・・・1532年
・セルバンテス著『ドン・キホーテ』(スペイン)・・・1605年

いずれも『源氏物語』から300年から600年も後の作品です。

『源氏物語』のあらすじは、一言でいうなら主人公の光源氏(ひかるげんじ)の恋愛物語です。その特筆すべき点は、千年も前にかくも自由で洗練された、細やかな情緒をたたえながら男女がつきあっている様が描かれている点です。

第一次大戦前後、イギリスのインテリや芸術家たちによるブルームズベリー・グループという組織がありました。これは自分たちこそ世界で一番進んだ文化人であり、男女のつきあいも一番洗練された生活をしている、と自負していた集団です。

そんな彼らが、『源氏物語』の世界観に圧倒されます。はるか昔に、むしろ自分たちよりも洗練された男女のつきあいがあったとはにわかに信じられなかったようです。

平安時代というのは、『源氏物語』を筆頭に女性による様々な作品が生まれた時代でした。清少納言(せいしょうなごん)の『枕草子』、紫式部や和泉式部(いずみしきぶ)の日記、『伊勢物語』などです。

アメリカの著名な日本学者であるドナルド・キーン氏は、平安朝を「世界史上最高の文明」とまで言っています。

所感

日本の歴史を知れば知るほど、その奥深さ、レイヤーの多重さ、重層的でバラエティにとんでいると感じます。

武士道に象徴される日本の勇ましいイメージとは正反対の、平安時代における女性文化。その筆頭が『源氏物語』なのでしょう。

恥ずかしながら僕はまだ『源氏物語』をちゃんと読んだことがありません。そう言えば学校で藤壺というのを習ったかな・・・といったレベルです。

世界史的にみても特筆すべき作品。ちゃんと読んでみないともったいないですね。

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