日本史 読書ノート

『古事記』『日本書紀』成立/日本人の歴史感を形つくった公平・良心的な史書

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この記事は、渡部昇一著『読む年表 日本の歴史』の読書ノートです。

今回は
第1章 古代篇
『古事記』『日本書紀』成立
(712年/和銅5年、720年/養老4年)
です。

要点

  • 日本で初めて編纂された、現存する最古の歴史書
  • 異説もすべて記録している公平・良心的な史書
  • 戦前まで、日本人の歴史観の根底をなしていた

解説

『古事記(こじき)』と『日本書紀(にほんしょき)』は、ほぼ同時期に時の天皇によって編纂を命じられ出来上がった、日本最古の歴史書です。2冊を併せて「記紀(きき)」と呼びます。

『古事記』は、和銅5年(712年)に完成。稗田阿礼(ひえだのあれ)という役人による口述を太安万侶(おおのやすまろ)という文官が筆録・編纂しました。つまり稗田阿礼は、全ての内容が頭の中に入っていたということです。ものすごい記憶力ですね。

『日本書紀』は、養老4年(720年)に完成。舎人親王(とねりしんのう)という皇族を総裁にして編纂されました。

『古事記』も『日本書紀』も、国史編纂のきっかけは天武天皇による命です。天武天皇は、仏教を篤く信仰し、一方で伊勢神宮の式年遷宮を決めた天皇として知られています。

『古事記』は主に国内向けで、天皇家の系図や古い伝承を保存することが目的で作られました。一方の『日本書紀』は、シナ人など外国人向けに作られており、そのため堂々たる漢文で書かれています。

記紀の特徴として、神話の話も取り上げられている点です。イザナギ・イザナミによる国生み神話など、どう考えても史実ではないだろうという話も書いています。

しかも、それぞれの話には多くの異説があるのですがそれを排除することなく「一書に曰く」という形ですべて記録しています。

渡部氏は、このような書き方の歴史書はほかに例がなく、現代から見ても類がないほど良心的だ、と評しています。

所感

学生の頃、初めて『古事記』を習った時には、その発音が乞食と同じなので、変な名前だなぁと感じたものです。大人になり、改めて古事記に出てくるような神代の物語を知ると、とても味わい深いものだと感じるようになりました。

知れば知るほど日本人として、もっと記紀の内容を深く知りたいと感じます。

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