日本近現代史

プロパガンダ映画『汝の敵、日本を知れ』を観た

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僕はこれまでプロパガンダ映画を一度も観たことがありませんでした。

北朝鮮が流しているプロパガンダ映像などは、TVのドキュメンタリーやネットニュースなどで観たことがありましたが、それも断片的なもので、最初から最後まで通しで観たことはありませんでした。

昨日、初めてガッツリとプロパガンダ映画を観ました。

それは『汝の敵、日本を知れ』です。Netflixで動画でも観ようと思って探していたところ、ふとそのタイトルが目に止まったのです。

これは1945年、第二次大戦終戦直前にアメリカで制作された映画です。監督はフランク・キャプラ。『素晴らしき哉、人生! 』という有名な作品の監督です。つまりは当時のアメリカの最高峰のスタッフが制作した国策映画と言えるでしょう。

視聴してみた感想は、「プロパガンダってやっぱり恐ろしい」ということです。

現在の人間が観たら、日本人ならずともツッコミどころ満載で、そのあからさまな嫌がらせの表現に面白みすら感じるのですが、1945年当時のアメリカではそのように感じたアメリカ人はほとんどいなかったのではないでしょうか。

そう考えると、この作品観たアメリカ人は「やっぱりジャップって奴らは危険で恐ろしい奴らだ、生かしてはおけない」という気になったでしょうし、その感情はむしろ正義感や愛国心の発露として全うなものだったということは容易に想像できます。

この作品の俊逸なところ、そして恐ろしいところは、日本の歴史や国民性などをかなり上手くまとめている点です。

例えば、天孫降臨の話や天照大御神の話、その子孫である神武天皇の話も紹介し、天皇ヒロヒトはその末裔である、ということを解説しています。

映像も、実際の映像と再現映像(恐らく在米日系人を使って撮影したのではないかと)が絶妙に、違和感なく織り交ぜられていて、とてもリアリティがありました。

プロパガンダの恐ろしい点はずばり、本当の話の中に嘘を織り交ぜている点です。

ネットの口コミで、「あながち間違ってないし、今の日本にも通じるところがある」といった感想がちらほらあります。これが怖い点です。

そう、あながち間違ってないんです。そして、当然今の日本にも通じる点はあるんです。本当のことも述べているですから。問題は、ちょこちょこ変なところがある点で、しかもそこが致命的に変なんです。プロパガンダなので当然ですね。

この作品を、今の僕は笑って観れました。しかし、例えば現在リアルタイムで流れているニュースや作品を観て、その情報を正しく観れているか、疑問を持ちました。

あまり疑いすぎると陰謀論信者みたいになってしまうので、それはそれで気をつけたいですが、情報に接するときには「誰が、何の目的で発信しているのか」「他のソース(できれば立場的に反対の立場)ではどういうスタンスで発信されているのか」を気にしていきたい、と改めて思い至りました。

※Youtubeにもありました。そのうち消されるかもしれないけど。

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